2.アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の患者さんは全身のカサカサ肌(乾燥肌)を合併していることが多く、局所のみの治療ではすぐに再発、悪化を繰り返します。患者さんにとってはなかなか思うように症状が改善されず、医療に対して不信を抱かれることもしばしばあり、結果としてドクターショッピング(医療機関を次々と替える)される方や民間療法に頼る方が多く存在することになっているようです。
病因は今のところ明らかではありません。ひとつの原因で説明することが困難で、多面的な原因の関与が考えられています。体質(アレルギー反応?や皮膚のバリアー機能の障害)だけでなく食生活、住環境や対人関係など現代生活そのものと密接に関係していると考えられます。
したがって、治療においても日常生活をもう一度見直してみることも必要となります。
3.蕁麻疹(じんましん)
痒みを伴うみみず腫れやあかみが突然体中にでる病気です。しばらくすると消えてしまい、別の部位に新たにでてきます。1ヶ月以内に完治するものを急性蕁麻疹といい、治療を受けても1ヶ月以上続くものを慢性蕁麻疹といいます。原因はアレルギーによるものと、そうでないものがあります。治療は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服、外用、静脈注射などを行います。アレルゲン検査で原因を追究するのが重要です。
4.ニキビ
青春のシンボルといわれますが、30代、40代でひどくなることも珍しくありません。体質的に皮脂腺の発達している人では顔以外に胸や背中や首筋にもできます。まず洗顔が一番重要です(1日4~5回)。イオウカンフルローションや抗菌クリームなどの外用剤やテトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質の内服を症状にあわせて選択します。
5.白癬症(水虫、たむし)
一見水虫のように見えても、水虫ではない病気はたくさんあります。真菌の顕微鏡検査(白癬菌、カンジダ、、でん風菌など)をして確定診断の後、治療を開始します。爪白癬(爪水虫)とは爪に白癬菌が入り込み、爪が白くにごったり、分厚くなったりする病気です。以前は2~3年も薬を飲み続ける必要がありましたが、最近では治療効果の高い内服薬が開発され、3~6ヶ月で8割以上の方の完全治癒が期待できます。
6.イボ
イボはヒトパピローマウイルスが皮膚に感染しておこる病気で、手足に多くできますが、体中どこにでも発生します。うおのめと勘違いされて来院される方が多いのですが、そのほとんどはイボです。放置すると、どんどん増えていきます。治療は液体窒素による冷凍凝固法が基本です。
7.帯状疱疹
体の右半分か左半分に痛み、あかみ、水ぶくれが生じる水痘―帯状疱疹ウイルスが原因の病気です。昔かかった水痘(みずぼうそう)のウイルスが神経節というところに潜んでいて、体の抵抗力が落ちたときに神経に沿って増殖するために、ピリピリと神経痛のように痛むのが特徴です。初めは痛みより痒みの方が強いこともあり、単なる湿疹と思って治療が遅れると帯状疱疹後神経痛という後遺症が残ることがあります。
8.口唇ヘルペス(熱の華)
口唇に痛み、あかみ、水ぶくれが生じる単純ヘルペスウイルスが原因の皮膚病です。疲れたり、熱が出たりしたときに再発しやすい病気です。残念ながら根本治療は現在のところありません。早めの抗ウイルス剤の内服や外用療法で症状はひどくならずにすみます。
9.伝染性軟属腫(水イボ)
白い米粒大のブツブツで、みずいぼウイルスによる感染症です。スイミングに通っているお子さんによく見られます。治療はピンセットでとってしまうのが一般的で最も確実な方法です。小児科を受診され、ほおっておけば自然に取れると説明を受けたものの、その後どんどん広がってしまい、当クリニックを受診される方が後を絶ちません。少ないうちに早めの治療がよいと思います。
10.伝染性膿か疹(とびひ)
夏子供に多く見られ、水ぶくれ、膿、ただれ、かさぶたを生じる細菌感染による皮膚病です。黄色ブドウ球菌はもともと皮膚表面に誰でもいる細菌ですが、虫刺され、あせも、かぶれ、やけど、傷などにこの菌が感染して増殖すると、とびひになります。治療が遅れると全身に広がり、やけどのような状態になって入院が必要になります。早めの治療が重要です。